とあるジャックの物語
「はぁー。今日もまたリゼロとかいうスロットで3万も
イカれちゃったよ。鯨がいるからって聞いてきたのに。
やべーな、松屋でカレー食う金もねーわ。 」
「仕方ない、帰って飯でも食うか。」
ーーー帰宅ーーー
「あれ、ポムポムプリンの皿がないな。どこにしまったかなー。
あれがないと焼きそば食べる気しないんだよな。」
ーー彼の名はジャック。
名家の生まれながら特に定職にも付かず、日々をのんべんだらりと過ごしている。いわゆるニートってやつだ。小学校3年生の時に書道でPTA特別賞をもらったことが唯一の自慢だ。
別室から足早に近づいてくる音が聞こえる。
母 「もうあんたはいつもふらふらして!」
「うっせーな。鯨にリベンジするからトランスファーしろよ」
母 「何てこというの!昔はそんな子じゃなかったのに。
ポーカーのオフ会に顔出すようになって変わってしまったわ。」
母「お父さん何とかいってやって!」
父 「お前はやればそこそこ出来る子なんだ。
ポテンシャルもそこそこある。
なぜ何事にも頑張れない。」
「1ヶ月の勘当を言い渡す!自分で世界を見て来い!」
ーーードカッ!バタンっ!
「いてて。マジで追い出されちゃったよ。
どうしよー。でもまぁとりあえず隙見て1万パクってきたし
スロ屋むかうか。確か250G回ってればいいんだよな。」
ーーー道中、何やら楽しそうな声が聞こえる。
「キャッキャ、ウフフ」
「モウ、ヤメロヨー」
『アハハハハハハハハハハ』
「あいつら付き合ってたのか、まぁ昔からパッとしないもの同士で
お似合いっちゃお似合いだな。
誰からも期待されてなくてお気楽でうらやましいぜ。 」
「おや、あなたは…」
「なんだよ、俺はあんたなんか知らねーよ。
どっか行けよ。」
(どっかで見たことあるな。でも所詮1だし大したことねーな)
ーーーダダダダダダダッ!
「ばっかもぉーん!!」
「そちらはA様だ!すぐに謝れ!」
「なんだよ親父かよ。なんでこんなやつにビビってんだよ、
所詮1じゃねーか。1だぞ1。
ところでこんなとこで何してんだよ。」
「あの方は1などではない。A様だ。
レイズしてよし、リンプしてよし?
特にハイパートナメでは
暴れ回る圧倒的パワーを持たれる方だ。」
「そんな圧倒的パワーを持ちながら 、
4や5といった地位の低いものとも連結される
いわば神のような存在なのだ。
ワシもあの方だけには逆えん。」
(親父も無論名家の生まれだが、一生懸命働き
周りからの信頼も得て我が一族を更に大きくした実力者だ。)
(それは俺も悔しながら認めている。)
(そんな親父がこんな奴に頭が上がらないだと?)
「A様、うちの愚息が大変失礼しました。
何卒お許しを。」
「なになに、気にすることはありません。
彼はまだ若い。
それぐらい勢いあるほうがいいんですよ。
では私はこの辺で。」
「ははー。私がいるときは
何卒ボードにお出にならず、
私にお任せください。
「ふぉふぉふぉ。AぺろAぺろ。
ところで今晩わしとBJにならないか」
…。
おっさん同士の絡みなんかしらねーよ、逃げよ。
ーーー歩くこと39分ーーー
「あれ?Qちゃんじゃん。何してんだろ」
「ちょっとやめてください、困ります」
「いいじゃねーか、ちょっと俺と付き合ってくれよ。
このブラインドだけでいいからよ」。
「ちょっとやだ!やめて!スーコネになっちゃう!」
おい、嫌がってんじゃねーか。やめろよ
「あーん?誰だお前」
「誰でもねーよ。Qちゃん久しぶり。だいじょうぶ?」
「ジャックくん!?」
「おい、その汚い肉球を離せよ。」
「なんだとこら!バキっ(殴)」
「いってぇ!この野郎!」
ドカっ、バキっ、ゴフっ、マムッ!
「はぁはぁ、やるじゃねーか。
今日はこの辺で許しといてやるよぉ!」
ーーーダダダダッ
「いってぇ。まぁ実力は互角だったな。
Qちゃんを想う気持ちだけちょっと勝ったかな。なんちって。」
「誰か助けてー! ダダダダッ」
「…。」
「慣れねえことはするもんじゃねーな。」
ーーービッグファックル秋葉原店ーーー
「くそ、なけなしの一万すっちまった…
横のやつは20kぐらい負けてそうだったな。くそげーだわ。」
「こりゃほんとに一文無しだな。どうにかしないと。
どっかで借りるか…おっ、あんなとこに店が。」
トウテンハ、ダレデモウェルカム…
「さすがにヤバそうだな、やめとこ。」
ーーー渋谷ーーー
キキィーーーー!!!
」
「うぉ!あぶねぇ!ほんとに免許持ってんのかよ。
レンタカーだし、助手席のやつ生きた心地しないだろうな。」
どんっ!
「ってぇ!ちゃんと前向いて歩けよ!」
「てめぇこそどこ見てんだよ!ってあれお前さっきの…」
「あ、Qちゃんいじめてたやつじゃねーか!
まだこの辺にいやg…」
ぐぅー
「はっははは。なんだ腹でも減ってんのかw」
「どうせそこのパチ屋で負けてきたんだろw」
「うるせーよ!かんけーねえだろ!」
ぐぅー
「体は正直だなw」
「飯ぐらいおごってやんよ、いこーぜ」
「えっ…」
「俺もいきなり殴ったりして悪かったな。詫びだ」
「なんだお前。結構いいやつだったんだな。
こっちこそごめん」
「昨日の敵は今日の友ってなぁ!」
「この先にうまい牡蠣があんだ。いこーぜ!」
ーーー1年後ーーー
「なぁジャック、そろそろ一緒に暮らさねーか。」
「えっ…」
「仕事も見つけたし、貯蓄も出来た。
もうポーカーだってやってない。
EVだって常に安定だ。」
「真剣にお前とペアになろうって決めたんだよ。」
「ヒック…ふえええーん。」
「おいおい、泣くなよ、そんなに嫌か?」
「違うの…嬉しくて…涙が。」
「はっはっはwやっぱり体は正直だなw」
こうして2人は深い愛に包まれ末永く幸せに、それはそれは幸せに暮らしましたとさ。
いまあなたの手元に来たそのJJ。
もっと大切に使ってみませんか?
ちゃんちゃん。